東京ライフスタイル探訪
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【vol.13 学芸大学】垢抜けとローカルのハイブリッド。ウォーカブルで住み良い街。

皆さまこんにちは。東京の街を愛する宅地建物取引士、伊勢谷(いせたに)です。こちらの連載では東京の様々な街を “暮らす目線” と “不動産屋目線” でご紹介していきます。

アクセス良好ながら 駅前から歩いて楽しめる街

「学芸大学」は筆者のまわりでは『住みたい街』として1位、2位を争うほどの人気。そして2024年9月に発表されたグローバルメディアTimeOutで『世界で最もクールな街』として東京、いや日本で唯一第15位に選ばれました。今回の取材を通じて、その人気の理由を探っていきたいと思います。

「学芸大学」は東急東横線の急行停車駅で「渋谷」駅まで乗車時間約6分、「自由が丘」駅まで約4分と、都内だけでなく神奈川方面への交通アクセスも良好。副都心線と直通運転しているため「新宿三丁目」や「池袋」へも出やすいのが魅力です。駅の北西側に目黒区と世田谷区の区界があります。

駅の西に環状七号線、南に目黒通り、北に駒沢通りが走っており、車移動もしやすいのが特徴。一方駅を出てすぐ東西には賑やかな商店街が延びていて、ロータリーなどが無いぶん車が入りにくく、再開発によって同じような顔をした駅が増える中、現在でも “暮らしの香り” が駅前から続き “歩いて楽しめる街” なのが魅力です。
 

▲ 上・八百屋さんや書店といった昔ながらの店が出迎える「学芸大学東口商店街」。/下・チェーン店が目立つ「学芸大学西口商店街」。

商店街にはスーパーや薬局、各種クリニックといった生活に不可欠なお店が揃っているだけでなく、感度の高いお花屋さんに古着屋さん、おしゃれな日用品店も多く、発見の連続で歩いていて飽きることがありません。また夜になると雰囲気がよく味自慢の居酒屋さんも数多くオープン。そういった側面から家族連れだけでなく、20代から30代の若い世代にも絶大な人気を誇る街なのです。
 

▲ 左上・ディスプレイが素敵なお花屋さん。/右上・焼き鳥店でポップアップの古着販売!?/左下・1952年創業の老舗洋菓子店「マッターホーン」。朝9時から営業しておりお持たせにぴったり。イートインも人気です。/右下・お煎餅屋さんに呉服店など、歴史ある商店も軒を連ねています。

線路の高架下は2012年から「GAKUDAI KOUKASHITA」として整備され、2024年には新たに “ローカルに寄り添いながら、まちの未来にふさわしい場所” へとリニューアル予定。コワーキングスペースやアトリエ、オープンスペースをそなえた「GAKUDAI COLLECTIV」のオープンや、旧「学大小路」は一日中滞在できる公園のような施設「GAKUDAI PARK STREET」に、これまでの食を中心とした多機能マーケット「学大市場」や飲食店が軒を連ねる「学大横丁」はそのままに、ますますパワーアップしそうです。
 

▲ 左上・碑文谷公園へと続く「公園通り商栄会」に面していることからも「GAKUDAI PARK STREET」の名前には馴染みやすいですね。/右上・イベントも定期的に開催。/左下・各店舗の前に出たネオンが可愛い。/右下・スーパーなどが入る「学大市場」。

また商店街だけでなく、大通り沿いに出ても大型スーパーが多数あるのも魅力。住まうエリアによって日常使いする場所が変わりそうです。
 

▲ 目黒通り沿いにある「イオンスタイル碑文谷」。

街中に公園がたくさん

それぞれ約2km離れた北の東急田園都市線、南の目黒線までをひとつのエリアとして見ると、その間には「林試の森公園」や「世田谷公園」など大きな公園が存在しています。環七を越える必要がありますが、西側には「駒沢オリンピック公園」も。

また歩いて行ける範囲にも池や動物とのふれあいが楽しめる「碑文谷公園」、無料で釣りが楽しめる「清水池公園」、竹林が見事な「すずめのお宿緑地公園」などがあり、子どもたちが自転車で行ける距離にも多数遊び場があるのです。
 

▲ 「碑文谷公園」を訪れたのは平日午前中。園内を整備するボランティアの方、お散歩に来た園児たち、ご高齢の方々による “歩こう会”(?)など、様々な方が訪れていました。土日になると池でボートに乗ることもできますよ。
 

▲ 上・「清水池公園」で池を囲み釣りを楽しむ叔父さま方。/下・「すずめのお宿緑地公園」。

私立から公立まで学校施設も充実

『学芸大学』と駅名には付くものの、大学自体は小金井市に移転したのは有名な話。現在でも「学芸大学附属高等学校」は下馬に残っています。街を歩いていると児童館や保育施設をたくさん見かけましたし、夕方になると連れ立って歩く子どもたちや制服、体操着で歩く中高生の姿も多く見かけました。目黒区、世田谷区の両方で子育て支援プログラムも用意されているため、ファミリーで住みやすい環境と言えそうです。

▲ 左上・「学芸大学附属高等学校」は敷地面積が広く、校舎もレトロで趣があります。/右上・碑文谷にある「目黒区立第七中学校」。/左下・「目黒かえで保育園」/右下・「モンテッソーリ学芸大学子どもの家」

アドレスブランドが光る低層住宅街

前述のように交通量の多い道路に囲まれていますが、そこから四方に細道が走っているのも街の特徴。歩いていると見るからに『戸建てが多いな』と感じるエリアが多数ありました。
 

▲ 上&左下・下馬エリア。/右下・五本木エリア。

中でも住宅地として人気が高い目黒区碑文谷、柿の木坂なども駅周辺にあり、利便性と住みよさの両立を願う方にとって憧れの地となっています。
 

▲ 左・碑文谷エリアの象徴的存在となっている「カトリック碑文谷教会(通称:サレジオ教会)」。/右上・教会が面する「碑さくら通り」の様子。駅から離れたエリアではバスが頻繁に行き来しています。/右下・同じ通り沿いには児童館も。

そんな中、駒沢通りの「五本木」交差点から目黒通りの「目黒郵便局前」までをつなぐ都市計画道路(補助26号線)が施工中。交通渋滞の緩和や交通の円滑化を計るとともに、電線等の地中化などによる安全性や防災性の向上も期待されています。同路線の事業が完了すると「下北沢」方面や「大井町」方面へのアクセスもよりスムーズに。ただし交通量が増えることが予測されるので、周辺で物件購入を検討される方は事前にシミュレーションしておくことをオススメします。
 

▲ 上・五本木交差点から補助26号線を見た様子。/下・立ち退きが進み、工事が進行中。事業期間は令和7年度まで。

ファミリータイプ多数 土地や戸建ての選択肢も豊富

過去3年間の「学芸大学」駅周辺の成約事例を独自に集計してみました。中古マンションの成約が250件なのに対し、土地と中古戸建ての合計数が75件。都心部に近いエリアの中では土地や中古戸建ての割合が大きいのが特徴です。

▲ 東日本流通機構(REINS)に登録された、過去3年間(2021/11/1-2024/10/31)の成約事例を集計したもの(オーナーチェンジ物件を除く)。いずれも「学芸大学」駅より徒歩15分圏内のみを集計しており、同アドレス内でもそれを超えるものや未登録物件はカウントしていないため、全成約を網羅できているものではないことをご了承いただいた上で、ご参考までにご覧ください。(土地 / 建物 / 専有面積45㎡以上、いずれも価格の制限なし)

なかでも「下馬」「五本木」は土地や中古戸建ての成約数が多く、「碑文谷」や「目黒本町」はマンションの割合が高いのが分かります。詳しいデータは以下のチャートの通り。
 

実は成約数に注目すると、過去に取材した「三軒茶屋」と酷似しているのが興味深かったです。ふたつの街を比較してみると以下のような結果に。いずれもファミリーに人気の街ですが、「学芸大学」の方が全体的に広くて高額であると言えますね。

まとめ

取材と調査を元にまとめた「学芸大学」のポイントは以下の3つ。

・感度の高さと生活利便性のバランスが絶妙
・広い “面” で楽しめる
・ご家族でゆったり暮らせる環境

単純に “商店街に活気がある” のではなく、その中に感度の高いお店が多数混ざっていることが人気の理由だと思います。例えば東横線で「学芸大学」の手前にある駅を考えると、渋谷〜代官山〜中目黒〜祐天寺〜学芸大学と続くわけで、おしゃれな飲食店やアパレルショップ、美容系の職業につかれている方も多く住んでいます。またそういった方々は帰宅時間が遅いため、街のお店も遅くまで営業していると聞いたことがあります。居酒屋さんが充実しているのにはそういった背景もありそうですよね。

また「学芸大学」にコンパスの針を落とすと東西南北に魅力的な街が揃い踏み。広い範囲を “面” で楽しめそうなので、自転車が1台あるとぐっと日常が彩られそうです。

買い物便利、公園充実、低層住宅街が中心、広めの物件も多いとくれば、やはりファミリーにオススメの街と太鼓判が押せます! まずはぜひ街歩きを楽しんで、その魅力に浸っていただきたいです。
 

おまけ 〜わたしの取材メシ〜

取材日は寒波襲来で、歩き続けていると体が凍えてしまいました。ちょうど五本木交差点のあたりを歩いていたので、街で評判のお蕎麦屋さん「いしおか」へ駆け込むことに。季節の牡蠣南蛮をいただき、風味良いお出汁と手打ち蕎麦にほっと舌鼓。おつまみメニューも充実していて、昼からしっぽり飲んでいる常連と思しき殿様方が何組かいらっしゃいました。帰りには「TRASPARENTE(トラスパレンテ)」で美味しいパンをゲット。
 

▲ 左上・戸建ての1階にお邪魔するようなアットホームな雰囲気。/右上・この冬初めての牡蠣、めちゃくちゃ美味でした。/左下・「TRASPARENTE -GAKUGEIDAIGAKU-」ではイートインも可能。/右下・食パンとまるパンは娘へのおみやげ。
 

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