東京ライフスタイル探訪
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【vol.15 経堂】個性が光る3つの商店街と、緑道がつなぐ住宅街

皆さまこんにちは。東京の街を愛する宅地建物取引士、伊勢谷(いせたに)です。こちらの連載では東京の様々な街を “暮らす目線” と “不動産屋目線” でご紹介していきます。

世田谷区のほぼ中央に位置する街

今回訪れた街は「経堂」。“世田谷区らしい住宅街と商店街が織りなす街” という印象がありましたが、実際に取材してみるとコンテンツの充実度がとても高かったため、今回はその感動をお伝えすべくレポートしていきたいと思います。

「経堂」駅は小田急線の急行停車駅で、直線距離にすると北の京王線まで約1.7km、南の田園都市線まで約2.5kmと距離が離れています。

駅の北口にはバスロータリーがあり、千歳船橋、八幡山、梅ヶ丘など周辺の街への足がしっかりと確保されています(なかには渋谷行きのバスも)。一方2kmほど離れた西には環八、東には環七が走っているため、車移動にも便利そうです。
 

個性が光る3つの商店街

まず筆者が感動したのが商店街の存在。それぞれご紹介しましょう。

1)経堂農大通り商店街

駅の南口を出ると出迎えてくれるのが通称『ハートフル農大通り』。文字通り東京農業大学までの道のりとなっているため、学生さんも通いやすいチェーン店などが充実している印象でした。夏には「経堂まつり」を開催し、農大応援団による「大根踊り」や阿波踊り、サンバパレードが繰り出します。人通りが増える16時から19時は車両通行止めとなり、安心して買い物が楽しめるのもうれしいですね。
 

▲ 左上・城山通りとぶつかる場所には大きなアーチが。/右上・商店街の様子。日中は車両も通行するのでご注意を。/左下・マスコットキャラクターの「ハートフル・ファミリー」。苗字は「農大」で、それぞれに名前が付いています。/右下・商店街の道路には馬の蹄鉄(ていてつ)が。農大通りは「JRA馬事公苑」へと続く道でもあり、その道しるべとして、かつて行われた世田谷区 “うままちプロジェクト” に寄附した方々のお名前が刻まれています。

2)経堂本町通り商店街

同じく駅の南側に位置し、農大通りの裏から東側へと伸びています。看板こそ大きいのですが3つの商店街の中では最もひっそりしており、鮮魚店や八百屋さんなど、地域に根ざしたお店が軒を連ねていました。
 

▲ 上・大きくてレトロなアーチが出迎えてくれます。/下・鮮魚店の前には発泡スチロールの山! お向かいには八百屋さんがありました。

3)経堂すずらん通り商店街

最も感動したのがこちらの商店街。駅北側の広い範囲に及んでいるのですが、特に北西側へと伸びる「すずらん本通り」には昔懐かしい商店が並び、まるでタイムスリップしたような気分に! 
 

▲ 「すずらん本通り」入り口。駅の北口ロータリーの目の前にあります。

農大通り商店街とはまた違った賑わいがあり、近隣にお住まいであろう幅広い年代の方々を見かけました。ローカルな雰囲気がお好きな方にとって、このお店のラインナップは堪らないのではないでしょうか。
 

▲ 左上・学生さんや小さなお子さまで賑わいを見せていた「おもちゃのかじやま」さん。小さな店内には昔懐かしい駄菓子や玩具がぎっしり! 一気にファンになりました。/左上・次々お客さまが入っていった八百屋さん。/左下・いまではなかなか見かけなくなってしまった昔ながらの文具屋さんも健在。/右下・まっすぐ進んだ先にはこんなレトロな建物も残っていました。
 

スーパーも大充実

商店街だけでなく、大型スーパーが多数あるのも街の魅力。駅ビル「経堂コルティ」には「小田急OX」ほかお惣菜店やお菓子屋さんも多数入居。取材の道中でも以下4件のスーパーを見かけ、お住まいのエリアによって買い物する場所を変えられそうです。
 

▲ 左上・駅南口すぐのところにある「ピーコックストア」。/右上・駅ビルの裏には「オオゼキ」。/左下・城山通り沿いの「ライフ」は広い駐車場も完備。/右下・ライフの近くには「業務スーパー」もありました。
 

ふたつの緑道が暮らしに彩りを添える

犬の散歩やジョギングに訪れた方、ご高齢の方とヘルパーさん、ベビーカーを押すママさんなど、住民の憩いの場となっているのがふたつの緑道です。駅の南側から北西側にかけて走っているのが「烏山川緑道」。池尻大橋から蘆花恒春園の手前まで続く全長約7kmに及ぶ緑道で、経堂駅周辺は桜並木となっています。

▲ 「烏山川緑道」。犬の散歩の道中、立ち話する方を何組か見かけました。

また北の「北沢川緑道」も池尻大橋からここ経堂の赤堤通りまで続く全長約4kmに及ぶ緑道。経堂駅前から世田谷線の「山下」駅・小田急線の「豪徳寺」駅へとぶつかる通りは「ユリの木公園」へと名称を変え、品格漂う街並みは『せたがや百景』にも選ばれています。
 

▲ 北沢川緑道・ユリの木通り。通り沿いには立派なマンションが並んでいて圧巻。この道をまっすぐ進めばすぐに “豪徳寺エリア”。
 

子育て施設も充実

緑道沿いにはいくつか児童公園があり、お昼も夕方もたくさんの子どもたち、ママさんたちで賑わっていました。公立小学校はいずれもやや駅から距離がありますが、校庭が広くて子どもたちが元気に遊べそうな環境。私立「鷗友学園女子中学高等学校」や「恵泉女学園中学・高等学校」も経堂駅が最寄りです。駅改札のお向かいに図書館があるのもうれしいですよね。

▲ 左上・夏はじゃぶじゃ池が楽しめる「石仏公園」。ママ友コミュニティがしっかり形成されているようでした。/右上・ユリの木公園のお向かいにある「山下公園」。/左下・烏山川緑道沿いにある「世田谷区立子ども・子育て総合センター」。/右下・高架下にある「世田谷区立経堂図書館」。児童向けコーナーがあるのはもちろん、おはなし会や絵本交換会がひらかれています。
 

土地や戸建ての選択肢も豊富 マンションは比較的築年数が古め

「経堂」駅の過去3年間の不動産成約情報を独自にまとめてみました。今回も駅から徒歩15分以内に絞っています。アドレスごとにMAPにまとめると以下のような形に。

▲ 東日本流通機構(REINS)に登録された、過去3年間(2022/1/1-2024/12/31)の成約事例を集計したもの(オーナーチェンジ物件を除く)。いずれも「経堂」駅より徒歩15分圏内のみを集計しており、同アドレス内でもそれを超えるものや未登録物件はカウントしていないため、全成約を網羅できているものではないことをご了承いただいた上で、ご参考までにご覧ください。(土地 / 建物 / 専有面積45㎡以上、いずれも価格の制限なし)

詳しく集計したのが以下のチャートです。都心部だと圧倒的にマンションの取引数が多い傾向にありますが、「経堂」では土地・戸建ての合計数が中古マンションとほぼ同数という結果に。これは駅周辺の広いエリアが第一種低層住居専用地域に指定されていることが関係していそう。
 

また中古マンションの平均築年数が2000年以降の街が多いなか、1996年と比較的年月が経過しているものが多いのも特徴。一際坪単価の高い “桜丘1丁目” はすべて総戸数108戸の大規模マンション「プラウド世田谷桜丘」の取引となっています。

▲ 左上・烏山川緑道沿いで見かけた「パークハウス経堂」。春は窓の外に桜並木が広がる絶好のロケーション。/右上・緑道沿いに戸建て住宅が並ぶエリアも。/左下・“宮坂” にはヴィンテージマンションも並んでいます。/右下・街の大部分は閑静な住宅街。

おまけ 〜わたしの取材メシ〜

今回も駆け足での取材となったため、お昼ごはんは緑道のベンチで「経堂パン工房キムラヤ」さんのチキン南蛮サンドを一瞬でたいらげ(とても美味しかったです!)、娘のおみやげに「経堂 小倉庵 本店」さんの鯛焼きを購入! 定番のあんこと日替わりの栗くりクリームを購入し、保育園のお迎え後、近所の公園で夜のピクニックを開催しました。羽根の部分はカリカリ、中は餡がたっぷり。両手に別々の味を持って、美味しそうに頬張る娘を見て幸せに浸ったのでした。

▲ 左上・学生さんやご近所の方で列ができていました。/右上・黒板に書かれた「日替わりタイヤキ予定表」。/左下・“MORE THAN TAIYAKI” というフレーズが良い◎/右下・丸っこいフォルムが可愛い♡ 美味でございました。
 

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