東京ライフスタイル探訪

【vol.16 高輪ゲートウェイ】東京の新たな玄関口誕生を受け、住環境はどう変わる?

皆さまこんにちは。東京の街を愛する宅地建物取引士、伊勢谷(いせたに)です。こちらの連載では東京の様々な街を “暮らす目線” と “不動産屋目線” でご紹介していきます。

港区南部に位置し ビジネス・高級住宅地・湾岸エリアに囲まれた街

今回訪れたのは「高輪ゲートウェイ」駅。2020年、49年ぶりに開業した山手線の新駅として注目を集め、それから間もなく5年の月日が経過しようとしています。駅周辺では現在も「TAKANAWA GATEWAY CITY」の開発工事が進められ、2025年3月27日には “まちびらき” を開催、2026年春のグランドオープンへ向け、順次施設が産声を上げる予定です。

今回はこれから変貌する街の現状をお届けし、住む街としての未来を想像してみたいと思います。
 

JR山手線と京浜東北線が乗り入れる「高輪ゲートウェイ」駅のお隣りは新幹線も停まる巨大ターミナル「品川」駅。徒歩5分の距離に都営浅草線の「泉岳寺」駅があり、そこから羽田空港へと直結しています。

「品川」「田町」とビジネス色の濃い駅に挟まれながら、西側は古くから高級住宅地として知られる “高輪エリア” 。また東側には京浜運河や東京湾が広がり、“港南エリア” “芝浦エリア” とも近接しています。

『広域品川圏』再開発の一端を担う 「TAKANAWA GATEWAY CITY」の開発

以前「大井町」の記事でもご紹介しましたが、『広域品川圏』の再開発が進行しており、同エリアは “東京の玄関口” として整備される予定です。

「高輪ゲートウェイ」駅周辺では5つの施設からなる「TAKANAWA GATEWAY CITY」の開発が佳境を迎えており、その敷地面積は合計84万5000㎡と国内最大級。街を100年先の心豊かなくらしのための実験場と位置付け、国際交流拠点 “Global Gateway” を形成します。
 

2025年2月4日付 JR東日本ニュース(プレスリリース)より引用

開発の詳細な内容はプレスリリースをご確認いただくとして、このエリアに住まう方にとってどのような変化やメリットが生じるのでしょうか。

まず駅直結の「THE LINKPILLAR 1」に複合商業施設「NEWoMan高輪」が入り、アパレルショップはもちろん、飲食店やスーパーなど200ものショップがオープン予定。広場では定期的にマルシェを開催予定と、買い物面での利便性が上がりそうです。

また「TAKANAWA GATWAY CITY RESIDENCE」では外国人ビジネスワーカーに対応した国際水準の高層住戸を供給(賃貸)、下階にはインターナショナルスクールが開校予定とのこと。複合文化施設「Mon Takanawa: The Museum of Narratives」でも定期的にイベントを開催予定とのことで、日常に刺激を与えてくれる存在となりそうです。
 

駅周辺の様子をチェック

2020年3月に開業した「高輪ゲートウェイ」駅ですが、現在利用者の数は多くありません。3月27日の “まちびらき” に合わせて新たに南改札の供用が開始され、それをもって全面開業となります。

▲ 駅外観と構内の様子。設計は世界的建築家・隈研吾氏が手がけ、折り紙がモチーフになっているそう。

改札を出ると目の前に「THE LINKPILLAR 1」が現れます。こちらにハイグレードオフィスのほか国際会議場、「JWマリオット・ホテル東京」「NEWoMan高輪」が入る予定。たくさんの工事車両と作業員の方々が目に入りました。

▲ 左・現行の改札を出ると見える景色。/右・第一京浜側から見た「THE LINKPILLAR 1」アプローチ部分。

そして第一京浜を渡った「泉岳寺」駅前から撮影した写真が以下です。左手は「THE LINKPILLAR 2」で、オフィスや商業施設、クリニック、フィットネスなどが入る予定で、2026年春に開業予定。右手が先んじてオープンする「THE LINKPILLAR 1」です。

▲ 左が「THE LINKPILLAR 2」、右が「THE LINKPILLAR 1」。

ちなみに筆者が元々「泉岳寺」駅周辺に抱いていた印象といえば “THE・ビジネス街” 。平日のお昼時にはたくさんのビジネスマンを見かけますが、夜や休日になると第一京浜沿いはガランとしてあまり人気(ひとけ)がありません。

また飲食店の数も少なく、驚いたことに2025年2月28日現在「高輪ゲートウェイ」駅から300m圏内に登録されたグルメ・レストラン予約サイト「食べログ」の飲食店数はわずか20件。「泉岳寺」駅でも300m圏内で43件。お隣りの「品川」駅だと300m圏内で241件なので、その差は歴然です。開発によってお店の選択肢が増えるといいですね。

▲ お昼時の第一京浜沿いの様子。飲食店が少ないため、ビジネスマンを相手にお弁当の屋台がパラソルを連ねます。コンビニで買い物している方も多数見かけました。
 

第一京浜を渡った先に広がる 高級邸宅街 “高輪エリア”

「高輪ゲートウェイ」駅の目と鼻の先にある「泉岳寺」駅。駅名通りの寺院があり、そちらには忠臣蔵で有名な赤穂浪士の墓所があります。

▲ 上・立派な山門。/左下・本堂前から山門を振り返ると、後ろに「THE LINKPILLAR 2」が見えています。/右下・墓所入り口前からも「THE LINKPILLAR 1」が視界に入ります。

その裏手一体は “高輪アドレス” で、豪邸やヴィンテージマンションがひしめくエリア。大使館も点在しており、「高輪警察署」が近いことからパトロールカーも頻繁に見かけ、治安のよさが伺えます。
 

▲ 左上・1973年竣工の「高輪ヒルズ」。/右上・1971年竣工の「高輪グランドパームス」。/左下・1970年竣工の「秀和高輪レジデンス」。/右下・高輪皇室邸の向かいに建つ1972年築の「高輪パークマンション」。

スーパーの数は多くなく、伊皿子交差点の「ピーコックストア 三田伊皿子店」や、高輪警察署の斜向かいにある「リンコス 高輪店」がメジャーどころ。いずれも高級スーパーですね。

しかしハイソなイメージを少し緩めてくれるのが二本榎通り沿いにある「メリーロード高輪」の存在です。ちぃばす(港区コミュニティバス)も走る通り沿いには昔懐かしいお豆腐屋さんやパン屋さん、街に根付いたクリニックなどが並び、ローカルな雰囲気に心がほどけます。

▲ 左・近代建築の遺産(ドイツ表現主義)として東京都文化デザイン事業により保存建築物に指定されている「高輪消防署日本榎出張所」。/右上・片側1車線の通りをちぃばすやパトロールカーが走ります。/右下・評判のパン屋さん「BOULANGERIE SEIJI ASAKURA」で朝食の葡萄パンをゲット。
 

子育て環境は良好 キチッとした姿の親子連れと多数遭遇

「品川」駅に近い都心とあって “公園なんか無いだろう” と思われる方も多いかもしれません。しかし想像とはまったく異なり、街中には開けた公園がいくつも点在しています。その一部をご紹介しましょう。(右上と下の写真、いずれも「TAKANAWA GATEWAY CITY」の建物が背景に写り込んでいます。)
 

▲ 左上・梅の花が見事だった「三田台公園」。園内には貝塚を復元した展示があり、区内で唯一の遺跡公園です。/右上・「亀塚公園」ではNPO法人がプレーパークを開催していました。斜面地に整備された階段で第一京浜まで下りられるため、お昼時は休憩にくるビジネスマンの姿も多く見かけました。/下・「高輪公園」は保育園や児童館が入る建物に隣接しています。

印象的だったのは何組かすれ違った親子連れの姿。ベビーカーを押すお母さまは皆綺麗にお化粧して背筋がしゃんと伸び、Tシャツやスエットなどラフな格好ながらブランドものだと分かる服をお召しのお父さま、制服姿の幼稚園生くらいのお子さまなど、生活のゆとりが現れているように感じました。

湾岸エリアにも大きな公園が

最後に幾重にも連なる広大な線路の反対側、湾岸エリアへ。現状東側へ歩いて行くには天井高170cmほど(!)の「高輪橋架道橋」通称 “オバケトンネル” を通過するしかなく、そこ以外のルートを辿ろうとすると相当な距離を迂回することになります。「高輪ゲートウェイ」駅周辺の再開発では車両も通れるよう新たに架道橋が設けられるよう。取材時は線路の途中まで伸びていました。行き来がしやすくなるのはとても便利ですし、不動産表示上の駅徒歩分数の短縮にもつながりそうです。
 

▲ 左・東側に間もなく届きそうな新設架道橋。/右・工事現場の囲いにも堂々と “オバケトンネル” の表示が。ダンジョンのようで面白いので、ぜひ皆さまも一度通ってみてください。

到着した東側は広い範囲が「芝浦中央公園」として整備されています。これは東京都下水道局芝浦水再生センター内の曝気槽(ばっきそう)の上部を鉄筋コンクリートで蓋をして造られた人工地盤の公園で、約45,000㎡もの広大な敷地には遊具やドッグラン、芝生広場、バラ園などが整備されています。
 

▲ 左上・こちら側からも「TAKANAWA GATWAY CITY」の摩天楼が大きく見えています。/右上・東京湾側には「レインボーブリッジ」の姿も。/左下・ドッグラン。/右下・遊具のあるエリアを抜けると「品川」駅周辺に建つビルに直結しています。
 

「高輪ゲートウェイ」駅最寄りに住まうなら “高輪アドレス” “三田アドレス” になることが濃厚

「高輪ゲートウェイ」駅を起点とし、徒歩15分圏内の過去3年間不動産成約情報について調べてみました。上記の通り “港南エリア” “芝浦エリア” は歩いて行くには距離があるため、実質「泉岳寺」駅、「白金高輪」駅、「高輪台」駅、が最寄りの物件が集まる結果に。
 

▲ 東日本流通機構(REINS)に登録された、過去3年間(2022/2/1-2025/1/31)の成約事例を集計したもの(オーナーチェンジ物件を除く)。いずれも「高輪ゲートウェイ」駅より徒歩15分圏内のみを集計しており、同アドレス内でもそれを超えるものや未登録物件はカウントしていないため、全成約を網羅できているものではないことをご了承いただいた上で、ご参考までにご覧ください。(土地 / 建物 / 専有面積45㎡以上、いずれも価格の制限なし)

土地や戸建ての売買はわずか3件。中古マンションの結果が興味深く、ヴィンテージマンションが集まる “高輪2丁目” は平均築年数が1983年と古めで、坪単価も低めです。それ以外のアドレスは平均築年数2000年以降、坪単価600万円前後と高額で取引されています。
 

まとめ

取材と調査を元にまとめた「高輪ゲートウェイ」のポイントは以下の3つ。

・“最寄り物件” となるものは少なそう
・周辺エリアの利便性向上
・インターナショナルな環境になる?

駅周辺は「TAKANAWA GATEWAY CITY」の広大な敷地で埋まり、周辺のエリアは既に商業ビルやマンションが建設済みであることから “我が家の最寄駅は高輪ゲートウェイです” と言える物件は今後もあまり増えなさそう。建て替えなどがあった場合も大多数は「泉岳寺」や「白金高輪」が最寄り駅となる気がします。

ですので、この街の住民が増えるというよりは、周辺にお住まいの方々にとって買い物スポットが増える、エンタメ要素が強まるという側面の方が強いのではないでしょうか。特に “港南エリア” “芝浦エリア” の方々にとっては道路の開通によって西側エリアへの行き来がしやすくなり、日常の楽しみが増すでしょう。

また開発自体が “Global Gateway” を謳っていることから、海外から移住してくる方々や出張で訪れる方など、国際色豊かなエリアとなっていくかもしれません。「TAKANAWA GATEWAY CITY」がグランドオープンしてしばらく経った頃、また街を訪れて変化を感じてみたいと思います。
 

おまけ 〜わたしの取材メシ〜

駅から300m圏内20件の飲食店の中からわたしが選んだのは、ネパール&チベット料理の「Resham Firiri(レッサムフィリリ)高輪店(本店)」さん。ちょうどご近所で営業されているフレンチのシェフが食べにいらしており、つい会話が耳に入ってしまったのですが(すみません……)、『駅前が開業することによって街が賑わいを増して、お店にもたくさんお客さんが来てくれるといいですよね』と前向きにお話しされていたのが印象的でした。
 

▲ 上・第一京浜から少し内に入ったところに素敵な外観のお店があります。テラス席はペット連れもOKとのこと!/左下・本国を思わせる素敵な内装。お隣りの席には本国のお客さま(?)がいらしていて、出てきたシェフが「ナマステ」とご挨拶。/右下・カレーのセットをいただきました。ご馳走様でした!
 

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