【vol.17 代々木上原】センスは光るが気取らない、高台の高級住宅街

皆さまこんにちは。東京の街を愛する宅地建物取引士、伊勢谷(いせたに)です。こちらの連載では東京の様々な街を “暮らす目線” と “不動産屋目線” でご紹介していきます。
メジャーな駅に近く 自然も楽しめる住環境

“洗練されたオシャレタウン” というイメージが湧く「代々木上原」。今回は住まう街としても人気の理由について考えてみました。
「代々木上原」は渋谷区の最西端に位置し、南西側は世田谷区と接しています。東京メトロ千代田線の始発駅であり、小田急線も乗り入れているため都心方面だけでなく神奈川方面へのアクセスも良好。「渋谷」や「下北沢」などメジャーな駅にも自転車で気軽に行ける距離感です。

▲ 駅の南側には井の頭通りが走っており、山手通りや甲州街道へのアクセスも良好。首都高速にも乗りやすい立地です。
東側へ行くと「代々木公園」があり、駅から歩くと徒歩13分ほどの距離。大きな緑がすぐ近くにあるため、ピクニックやジョギング、犬の散歩に出かける方も多そうです。

▲ 取材に出た3月中旬、暖かくなってきたため広場で過ごす方が増えてきました。
そのほか街のシンボルとして思い浮かぶのが井の頭通り沿いにある「東京ジャーミイ」。日本最大級のイスラム教のモスクとあって、礼拝の日にはたくさんの人が訪れます。また南側には「東京大学 駒場キャンパス」の広大な敷地が広がっています。

▲ 左・「東京ジャーミイ」。トルコ文化会館を併設しており、異国情緒を感じることができます。立派なモスクは10-18時の間、誰でも予約なしで見学可能。/右・「東京大学 先端科学技術研究センター」正門。
様々なレイヤーのお店が共存する商店街
駅前から広がる商店街に様々なカラーのお店が軒を連ねていることが街の魅力を醸成しているのだと感じました。「代々木上原駅前商店街」、「上原銀座商店街」、「上原仲通り商店街」の3つがあり、さらに幡ヶ谷駅方面へと抜ける「西原商店街」もハイセンスな個人店が並び、近年若者を中心に何かと話題です。

▲ 左上・最も規模の大きい「代々木上原駅前商店街」。中程にある「上原駅前会館」では年間行事に合わせて大規模なディスプレイが行われ、子どもたちは大喜び。/右上・16-18時は車両通行止めとなる「上原銀座商店街」。/左下・井の頭通りを渡ったところから始まる「代々木仲通り商店街」。街灯の下にはマスコットキャラ「ナカちゃん」の旗が下がっています。/右下・京王新線「幡ヶ谷」駅へと続く「西原商店街」はカフェやナチュラルワイン店、レコードショップなど店主のこだわりが滲む名店が揃っています。
高感度な飲食店やショップがたくさん
“オシャレタウン” のイメージを後押ししているのはレジェンダリーなお店があちこちに点在しているから。特に飲食店は全体的にハイレベルで、様々なジャンルの名店がひしめいています。またアパレルショップが多いのも特徴で、商店街では常設店だけでなくポップアップ店も。街に “動的” な要素があるのも住む人をワクワクさせる理由と言えそうです。

▲ 左・2000年創業の「Fireking Cafe」は業界人の社交場として有名。店内の壁面はギャラリーを兼ねており、オーナーの審美眼に叶ったアーティストだけが展示を許されます。お昼から深夜2時まで営業しているのもうれしいポイントで、筆者も夜な夜な考え事をしに通ったのが懐かしい。/右上・こちらもオーナーのセレクトが光る「ROUDABOUT(ラウンダバウト)」。日用品から衣類まで、様々な背景を持った品が並びます。/左下・複合施設「tefu yoyogi uehara」の1階ではいつもセンスのよいポップアップが開催されています。/右下・パリの街角を思わせる「Le cabaret(ル・キャバレ)」はナチュラルワインを提供するビストロ。
日常使いのお店もハイレベル
ただの “オシャレタウン” で終わらないのは、毎日口にする食べ物すらもキラリと光る名品揃いだから。行列必須の人気店が多いですが、ご近所の特権を活かして空いている時間帯を狙いたいですね。

▲ 左上・「カタネベーカリー」は様々なメディアで紹介されていることもあり大人気。ご近所の方は電話予約ができるそう。/右上・細い路地裏にあるドーナッツ屋さん「haritts(ハリッツ)」。夕方には完売して店じまいすることも多いです。/左下・鶏と豚をベースに季節ごとの素材を自家製の皮で包んだ「桉田餃子」。冷凍のお持ち帰りも可能です。/右下・肉問屋さんが開いた精肉店「UEHARA MEAT」。お惣菜も販売しており、筆者と娘はここのコロッケの大ファン。
懐かしさが味わえるお店も
また昭和レトロな個人店が残っているのも魅力。どこも長年地元の方々に愛されているのが伝わってきます。このように、「代々木上原」には様々なレイヤーのお店が集まっているのです。

▲ 左上・お豆腐の「太田屋」さんは夕暮れ時に前を通るといつもご近所の方々で賑わっています。お父さんとお母さんが接客する姿にもほっこり。/右上・大正8年創業のお蕎麦屋さん「朝日屋」。/左下・ここ最近の “町中華ブーム” もあって、行列していることもしばしばの「白龍」。/右下・銭湯も健在。「大黒湯」の前にはランドリースペースが広がりフォトジェニック。
買い物事情
ちなみにスーパーの数はそう多くなく、駅ビルに入る「小田急OX」か、上原銀座商店街にある「マルエツ」が二大巨頭。ドラッグストアは数軒あり、日常生活に困ることはなさそうです。

▲ 左・駅ビル「アコルデ代々木上原」にはダイソーやカルディも入っています。/右・「マルエツ」の横には「ココカラファイン」も。
土地に起伏のある街
さてそんな魅力に溢れた「代々木上原」ですが、住まう上でご確認いただきたいのが坂道です。駅がちょうど “谷” に位置しており、そこから四方へ土地が起伏しています。おかげで住宅街では高台の恩恵(日当たりや眺望の良さ)を受けられることが多いのですが、なかには急坂もあるため内見の際は日常的に使うルートを歩いてみると良いでしょう。

▲ 上・筆者が大好きな井の頭通りの風景。/左下・上原アドレスの坂道。ぐっと下った先がまた上っており、視線の先には「東京ジャーミイ」が見えています。/右下・「上原小学校」至近の坂道。終業式があったのか、大量の荷物を持ち帰る小学生に思わず『大丈夫?』と声を掛けてしまいました(笑)
高台の高級住宅街
大通りから1本中に入るととても静かな低層住宅街が広がっています。築年数こそ様々ですが、見るからにグレードの高そうなマンションが並び、“邸宅” と呼びたくなるような戸建て住宅もあちこちに。大きな外車を運転する若いママさんや “迎車” 表示で停まるタクシーも頻繁に見かけ、やはり高所得な方々が住まうエリアであることを実感しました。

▲ 左上・シンボルツリーに護られた2003年竣工「グランドヒルズ代々木上原」。/右上・1983年竣工のヴィンテージマンション「ペアシティ代々木大山」。/左下・料亭のような門構えに驚いた高級賃貸マンション「アゼリアヒルズ」。敷地内には和風庭園が広がっています。/右下・マンション建設現場もちらほら見かけました。いずれも地下付き地上3,4階建てなどですが、ご覧のように土地にアップダウンがあるため低層でも眺望や日当たりのいい物件が多そうです。
安心して子育てできる環境
駅の南側には「上原小学校」「上原中学校」、北側には「西原小学校」、東側には「富谷小学校」と、駅近かつ比較的人通りが多い場所に公立小中学校があるのは大きな安心材料。また様々な特徴を持った保育園や幼稚園もあり、幅広い教育が受けられそうです。

▲ 左上・「渋谷区立上原中学校」。すぐ近くに「上原小学校」もあります。/右上・上原中学校の向いにある「上原社会教育館」は区民の自主的な学習・文化活動の場を提供するための施設で、様々な展示やワークショップが開催されています。/左下・「西原小学校」は商店街に面していて安心。/右下・閑静な住宅街の中で広大な敷地を持つ「河合塾学園 ドルトンスクール」。
近くに「代々木公園」があるだけでなく、駅周辺にも遊具が充実した公園もいくつかあり、周辺の保育園に通う園児たち、放課後の小学生たちで賑わっていました。

▲左・上原小学校、中学校、社会教育館のすぐ裏手にある「上原公園」。/右・「代々木大山公園」には保育室や野球場も併設されています。
広い物件が多く、価格は高額 京王新線「幡ヶ谷」駅方面が狙い目
「代々木上原」駅を起点として、徒歩10分圏内の過去3年間不動産成約情報について調べてみました。成約件数は駅の西から南にかけての「上原2、3丁目」「大山町」がボリュームゾーン。

▲ 東日本流通機構(REINS)に登録された、過去3年間(2022/3/1-2025/2/28)の成約事例を集計したもの(オーナーチェンジ物件を除く)。いずれも「代々木上原」駅より徒歩10分圏内のみを集計しており、同アドレス内でもそれを超えるものや未登録物件はカウントしていないため、全成約を網羅できているものではないことをご了承いただいた上で、ご参考までにご覧ください。(土地 / 建物 / 専有面積45㎡以上、いずれも価格の制限なし)
中古マンションの成約数に大きく偏る都心の街が多い中、「代々木上原」は土地・中古戸建てともに一定の成約がありますが、平均価格が土地は約2.7億円、戸建ては約1.9億円と高額。中古マンションの成約は94件で、平均価格は約1.4億円とこちらも高額なものの、平均平米数が約81㎡と他の街に比べ広いのも特徴です。

比較として近隣の駅、東京メトロ千代田線「代々木公園」駅と京王新線「幡ヶ谷」駅の過去3年間の中古マンション成約(徒歩10分圏内)を調べてみたところ、以下のような結果に。

坪単価で比べると「代々木上原」「代々木公園」に大差はないものの、「幡ヶ谷」駅は坪あたり100万円ほど価格が下がります。ご予算に応じてエリアを広めに検討すると良さそうです。
まとめ
取材と調査を元にまとめた「代々木上原」の特徴は以下の3つ。
・高感度ながら適度に肩の力が抜ける環境
・『食』に強い
・物件は “広くて高い” がスタンダード
都心のメジャータウンのように大きな商業施設があるわけではなく、駅を降りるとすぐ商店街が広がっているローカルさが、ある種 “肩の力が抜ける” 感覚に一役買っている気がします。
また代々木上原在住のママ友に話を聞くと、飲食店のレベルは高いながら、上でご紹介した「朝日屋」さんはじめ “子どもWELCOME” なお店も多いとか。素材にこだわりを持つ飲食店が多いため、お子さまにも安心して食べさせられますね。幼い頃から日常的にレベルの高い『食』に触れさせることができ、学校も自然も近くにあるのは、やはり子育て環境としてとても魅力的です。
最後は筆者が個人的に昔から感じていることですが、低層の高級住宅街は不動産デベロッパーが “広く贅沢に造って高く売る” 傾向があるように思います。都心部かつ高台立地という理由もありますが、「代々木上原」もまさにそうだろうと推測しました。高額帯にはなりますが、それに値する素晴らしい環境が用意されていると感じたのでした。
おまけ 〜わたしの取材メシ〜
この日は朝から街を取材し、自転車で20分弱の恵比寿でランチ会食。再び戻って、以前から外観&内装が気になっていた「小楽園 TEA SALON & BOUTIQUE」へ。“桃源郷の土産物屋” がコンセプトで、和洋折衷な空間造りやお菓子は世界観が完成されていてお見事! そもそも異文化MIXやチャーミングなものに目がない筆者は、赤富士・青富士をモチーフに作られた「雛山セット」に加え、提灯まで購入して帰ったのでした。

▲ 上・ピンクの外壁と壁面緑化が目を惹く外観。/右・思わず購入してしまった提灯(ランタン?)/下・美しい箱欲しさに買ったと言っても過言ではない「雛山セット」。富士山の中身はガナッシュです。